2022年5月30日、日本が誇るアニメーション制作に携わる4会社が合同で新会社『JOEN』(じょえん)を設立しました。
これによって今後のアニメ制作はどう変わっていくのか?新会社JOENとは一体なんなのか?を解説します。
動画で解説
JOENを設立した4会社
JOENはアニメーション制作に深く関わりのあるCloverWorks、WIT STUDIO、集英社、Aniplexの4社によって設立されました。
CloverWorks
CloverWorksは2018年にA-1 Picturesより独立したアニメーション制作スタジオ。
代表作として「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」「約束のネバーランド」など。
2022年には「その着せ替え人形は恋をする」や「明日ちゃんのセーラー服」の圧倒的なクオリティで人気を得ました。
WIT STUDIO
WIT STUDIOは2012年にProduction I.Gから独立したアニメーション制作会社。
代表作として「進撃の巨人」や「王様ランキング」などを手掛けています。
近年では「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」や「バブル」など高品質のオリジナルアニメも手掛ける。
集英社
言わずと知れた大手出版社。近年目覚ましいヒットを飛ばすアニメ化作品の漫画原作を多く所持する『ジャンプ』を代表に様々な原作を抱えています。
Aniplex
数々のアニメ作品を企画・プロデュースしてきた総合エンターテイメント企業。
JOENは何のための会社?
既にアニメ界に多くの影響を与えるこれら4社が、合同で新しく設立した「JOEN」は一体何を目的としたどんな会社なのか?
ズバリそれはこれまでよりもクリエイターファーストな制作会社だと思います。
その理由について、JOENの掲げる特徴的なポリシーからポイントを2点紹介します。
ポイント① 制作スタジオ主導のアニメ制作
JOENの公式HPには以下の文言が記載されてあります。
アニメーションスタジオが主体で
企画から制作までプロデュースを行う
株式会社JOENのオフィシャルサイトです。
この通り、これまでの制作スタジオはアニメを作る現場ではあっても、その方針や意見を決める最上位レイヤーではない事もあったと思います。
その理由はアニメ制作にかかる莫大なコストです。
制作の予算を製作委員会が組んでいる以上、最終決定件や制作方針は制作委員が持つことになります。
そうではなく、最もアニメ制作に理解のあるプロの現場マンである制作スタジオが企画から制作までを行うことで、よりハイクオリティな作品を作り上げることができるのだと思います。
それを可能にしているのが、原作を抱える集英社と、プロデュース力のあるAniplexが社内にいることではないかと思います。
ポイント② クリエイターへの成果還元
JOENの発足と活動が広げる大きな意味として、もう一つがクリエイターへの正常な利益還元環境の構築だと思われます。
JOENの公式サイトでは
そして、作品及び作品が生み出すビジネスが成功した場合でも、スタッフ・クリエイター、そして制作スタジオに利益還元がされにくい現状があります。
とあるように、やはり業界内でもクリエイターに利益還元されにくい現状を変えたいと思っている流れが昔からあるようです。
しかし、前述した通りそれはもとを辿れば「制作の予算」に基づくアニメというビジネスモデルが抱える根本的な問題です。
これを改革していくことは困難だと思われますが、
この現状を変えるために、制作スタジオが連携することによって、自らプロデュースし、ビジネススキームを構築することで、作り手に利益還元する新たな流れを作りたいと思っています。
とあるように、これまでとは違う新しいビジネススキームを構築することができれば、その流れを変えることができるかもしれません。
だからこそ、アニメ制作におけるこの有力4社が手を組むことは、非常に意義のある1歩だと考えさせられます。
JOENの誕生によってこれからのアニメはどうなる?
JOEN発足の発表から、今はまだJOENが携わるアニメ作品の発表はありません。
しかし、このJOENに集英社が参加していることから、今後の集英社原作の作品に携わる可能性は高いと思われます。
また、JOENの打ち出す「新たなビジネススキーム」の本質は未だ不明ですが、CloverWorksとWIT STUDIOが参加していることからも、アニメーションのクオリティに関しては最上のものが期待できそうです。
このJOENの活動によってアニメ制作界隈に良い変化や流れが訪れれば、それを模倣していくところも増え、界隈全体が健全に利益を回収できる。
それによってクリエイターの待遇も人材も向上し、どんどん良質なアニメが作られ我々アニメ視聴者も得をする、まさにWin-Winなプロジェクトだと思うので、イチアニメファンとしても大いに期待しているところであります。