白しずくと黒しずく
思えばしずくはこれまでの7話でそこまで目立ったエピソードがありませんでしたね。
その反面、今回のお当番回8話ではかなり凝った演出がされていました。
冒頭から、8話では話の転換に白しずくと黒しずくの掛け合いによる演劇が挟まれます。
白しずくがこれまで見せてきたしずく。
しかしこれは「本心を隠して繕った、演じていた自分」だということが明らかになりました。
対して黒しずくは、人に見せまいと隠していた本心のしずく。
舞台の主役が降板になった理由と同じく、今回描かれた桜坂しずくの課題は「本当の自分をさらけ出すこと」。
しずくが仮面を被るようになった原体験は「周りと少し違う」こと。
確かに子供が好きそうな感じではない昔の映画、子供にしては変わってますよね。
とはいえ子供は「周りと違う」ことを嫌がったりしますし、気持ちはわからないでもないです。
かくしてそういった些細な臆病さから、「本心を隠す」ことが癖になり、映画(というより女優?)が好きだったこともあり、皆に好かれる自分を「演じている」ようになったのでしょう。
だから自分を案じてくれている友達の応援も、素直に受け取れない。
これまで本心を隠してきた自分に、役が受かるとは思えなかったから。
そして「その自分」での友達付き合いしかしてこなかったから、本心を見せるのは怖いですよね。
ド真ん中ストレート中須かすみ
ぶっちゃけ、今回しずく以上に可愛く目立っていたのは中須かすみさんでした…。
普段から気が回るわけではないでしょうが、主役を降板になったしずくの違和感に気づいたり。
その放課後、しずくの様子を伺って「なんだ、いつもどおりじゃん…」のとことか、正直めっちゃかわいいです……。
虹ヶ咲の1年ズは、なんだかんだ賑やかしのかすみがバランサーなのがいいですよね。
わかりやすい「ぶりっこキャラ」ですが、根はいい子ですし。
りなりーの「私には愛さんがいた」発言で飛び出すかすみ。
無自覚かもしれませんが、つまり「しず子には私がいる」と思っているのでしょう。もしくは「しず子には私しかいない」。
しずくの本心を隠す演技は幼少から培ったものでしょうから、事実違和感に気づいていたのはかすみだけでしたしね。
おそらくしずくは「演技」を見破られた経験もあまりないのだと思います。
それに対し正面から「隠そうとしないでよ」と切り込んでくるかすみ。
本当に見破られたのがかすみでよかったね…。
同じく頑固者のかすみに詰められ、ついに観念して本心を吐露するしずく。
かすみんの喝シーンは冗談抜きで今まで一番いいシーンだったかもしれません。
スクールアイドルも役者も、ステージに上がり人目を浴びれば、容赦なく評価を受ける世界です。
誰よりも「スクールアイドル」に真剣なかすみだからこそ、その恐怖も喜びも知っているからこそ、できる叱咤ですよね。
先程かすみのことを「ぶりっ子キャラ」つまり、可愛い子ぶっていると表現しましたが、そう考えるとこれは間違いです。
かすみは決して「ぶっている」わけではなく、正真正銘「可愛い自分」で在ろうとしていて、そしてそれを自分で信じて疑わないだけです。
まさにしずくと正反対、彼女が繰り出した右ストレートのように、裏表なく全身全霊で「真っ直ぐ」なだけです。
なるほど、キャラとセリフに説得力がありますね。
しかもそこからの、可愛いと言われたことがないしずくに自分を可愛いと認めさせ、
「ほら、強引でも自分を好きにさせることができたでしょ?」
と、自分を評価しないかもしれない相手でも、やってみなくちゃわかんないよと説く流れ。
さらに、
「そりゃ好きじゃないって人もいるかもしれない。けど私は大好きだよ」
という最大限の承認、いや告白。
まさに侑やエマ、愛さんがやっていたやつです。何度でもやれ。
照れ怒りながら去るかすみに、吹っ切れたように笑うしずく。
しずくのトラウマや課題についてはともかく、この一連のシーンは本当に素晴らしい演出でした。
降り止んだSolitude Rain
今回のソロ曲も楽曲、MVともに最高でしたね…。
サブタイトルの「モノクローム」は、言わずもがな白しずくと黒しずく、演じていた表面的な自分と、隠していた本当の自分がいたこと。
Sotitude Rainの衣装が白黒なのはもちろん、本心をさらけ出し、内なる自分を受け入れた証でしょう。
「モノクローム」は本来、「白と黒」という意味の他に「1つの色」という意味があるらしく、しずくも本心の自分「黒しずく」を受け入れたからと言って、どちらかが消えてしまうわけではなく、本心はもちろん「演技していた自分」もまたしずくの一部であり個性なので、それらが消えずに共存し、「白黒」という「1つの色」になったことも指しているかもしれません。
また楽曲タイトルの「Solitude」は「孤独」という意味なので、直訳すると「孤独の雨」。
本心を誰にも明かさず内に秘め続けていたしずくは、まさしく孤独だったでしょう。
しかし中須かすみに与えられた承認により、殻を破りその本心を友達に、仲間に、観客にさらけ出すことで、孤独から抜け出しました。
曲中でその雨に打たれ、しかし雨を止ませ、青空を仰ぐのはそういうことでしょう。
冒頭と最後のインタビュー、冒頭は「精一杯演じますので」に対し公演終わりは「本当の私を」となっていますね。
余談。
1話CHASE!ぶりですが、MVのしずくがかおりん(前田佳織里さん)に見えました……なんなんでしょう。やっぱCGのダンスモーションが非常に「っぽい」んですよね。
まとめ
ということで実質かすみ回、いや想像を遥かに上回るしずかす回でした。
そしてなにやらまたスクフェスモブ部員たちが続々と登場しています。
次回の果林回でもライバルキャラとして他校のスクールアイドルが登場しそうですが、そういえば果林は「やるからにはトップを目指す」みたいなことを言っていた気がするので、もしかしたらいよいよ「ラブライブ!」に絡んでくるかもしれません。
モデルと掛け持ちの果林ですが、9話では果林の「本気」と虹ヶ咲の「本気」が見られるかもしれませんね。