「約束」の上書き。その想いは変わらないから【ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 12話感想】

クソデカ爆弾投下で引きとなった前回の11話。

電気もついていない一人暮らしの部屋で女子高生がふたり……何も起きない筈がなく……。

 

何らかの着信で我に返った歩夢。何事もなく一夜が明けました。

明くる日の朝、昨夜のことに触れる侑に、何事もなかったように振る舞う歩夢。

彼女の独白は

「離れたくないんて…ない」

侑が語る「夢」が、自分たちの関係の終わりを示していることを、歩夢は疑ってなかったのですね。

だから自分の想いが振り切れてしまったことよりも、侑の告白を遮ったことを優先したのでしょう。

 

 

「スクールアイドル上原歩夢」としての目覚め

上原歩夢のオリジンがどうしようもなく高咲侑であったように、歩夢がスクールアイドルを始めたきっかけも、モチベーションも同じく高咲侑ただ一人のためでした。

しかしそんな歩夢も、同好会として活動していくうちにファンを得て、「侑ちゃんだけのスクールアイドル」ではない自身が形成されていくのを感じていたはずです。

それらの描写に、私は「自主性・主体性のなさ」みたいなものを見出していましたが、それは彼女のスクールアイドルとしての在り方(侑のための~)がそうさせていたんだと思います。

 

しかし、今回のスクールアイドルフェスティバルの準備において、「スクールアイドル上原歩夢」のために頑張る高咲侑ではない自分のファンの存在を、改めて強く認識したはずです。

いや、もしかするとずっと前から感じていたはずです。

「高咲侑のため」のスクールアイドルと、不特定多数のファンを抱えるスクールアイドル

きっとその2つは両立できないものだとして、後者の自分を見ないようにしていたのではないでしょうか。

 

歩夢は「高咲侑だけのスクールアイドル」になりたかった。

だって、そのつもりで始めた物語だから。

そうやって生きてきた人生だったから。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会公式

 

そうではなく、徐々に形成されつつあった「高咲侑だけのものではないスクールアイドル」の上原歩夢を、彼女自身に強く意識させ始めたのは、奇しくも侑が発案したこのフェスと、そして侑が抱き始めた夢のせいでしょう。

そうつまり、歩夢自身も本当は気づいていたはずです。

自身をこんなに好いてくれるファンがいることも、そこに対して向きえあえていない自分がいることも。

 

 

侑の告白を再び遮った歩夢は、自身のスクールアイドルとしての在り方を侑に打ち明けました。

「私のスクールアイドルとしての夢」と、「侑ちゃんと一緒じゃなきゃどこへも行けない」は、やはり織り交ざって存在していたようです。

もしかしたら、そういうふうに思い込んでいただけかもしれませんが。

 

ともかく、歩夢は侑のためにスクールアイドルをやる一方で、スクールアイドルとしての夢やビジョンも、実はしっかりと持ち合わせていたんですよね。

しかしそこに絡まる、侑への依存が彼女の羽化を妨げています。

幼馴染故の、幼少期から続く関係性が壊れる・変わってしまうのはやっぱり怖いですよね。

だって、自分は侑との関係性を維持したままスクールアイドルという夢へ踏み出したのに、侑が語るそれは自分を置いて行ってしまうものだから。

そんなのってないですよね。

 

 

だけど、もしかしたら、歩夢が自身に課している侑への依存が、幼馴染故のバイアスによって作り出されているものだとしたら?

 

「自分は高咲侑と一緒じゃなければ、どこにも行けない。スクールアイドルにもなれない」

そう思い込むことで、侑の夢への思いに枷をつけている。いや、そうであってほしいと願っていたのではないでしょうか。

高咲侑もまた、自分なしでは夢を抱くことも、踏み出すこともできないのだと。

 

 

 

上原歩夢:ライジング

歩夢にとってせつ菜はなんとなく話しづらい(一方的な嫉妬とはいえ)相手でしょうが、そんな思いを打ち明けたのはたまたまでしょうか。

いいえ、歩夢はやはり、自分の胸に溢れる2つの「大好き」を感じていました。

そしていつも、自分の「大好き」を臆さず叫んでいたせつ菜にだからこそ、打ち明けたのではないでしょうか。

©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

始まったのなら、貫くのみ。

ずっと昔から始まっていた想いと。

そして始まりだした、新しい大好きを。

 

自分を思ってくれるファンと、そして侑の想いを受けてついに羽化へと至ります。

みんなのために歌う――あなたのためだけではなく、私の夢とファンのために。

音楽科への転科――あなたと一緒でなくても、私の夢とあなたの夢のために。

 

©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

これまで、長い年月が強固にしてきた、お互いに課した縛り、暗黙の枷。

その「約束」の上書き。

あまりに美しく、眩しい目覚めでした……。

 

侑の気持ちの象徴であるガーベラを身に着け、きっと最後の、侑にだけ見せるステージ。

それは歩夢なりの誓いでもあるでしょう。

 

互いに違う夢を抱き、道は違えど気持ちは同じ。

3話に跨り描かれてきた歩夢と、そして侑の夢への向き合い方。

なんて綺麗な締め方なんでしょうか……。おみそれしました。

 

 

まとめ

すっごい上手にまとまったストーリー構成な気がして逆に感想が書きづらいです。

まあ水を差すような疑問があるとすれば、音楽科への転科ってそんな簡単なん??ぐらいでしょうか。

 

次回はついに最終話(のはず)。みんなの夢が叶うフェスティバル、衣装はそれぞれ1st曲のものっぽいですが、もう1曲あるんでしょうか。

できれば全員曲がほしかったですが、フェスの趣旨的には難しそうですよね。

一応ソロ曲後にもう1枚ニューシングルのリリースが決定していて、収録は新規楽曲2曲となっているので、おそらく1曲は今回の「Awakening Promise」で、もう1曲が来週公開されるのではないかと思います。

全員曲ではないとしたら、もう残るは彼女しかないのでは……。

例えば、初めて創った楽曲とか……いやもうフェス明日だったか……。

 

 

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