2020年10月10日~11日にラブライブ!サンシャイン!!初となる無観客オンライン配信でのライブイベント『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours ONLINE LoveLive! ~LOST WORLD~』が開催されました。
ラブライブ!サンシャイン!!プロジェクトは9月より6thライブとなるドームツアーの開催を予定していましたが、8月には新型コロナウイルス感染防止のため開催中止を決定しました。
さらには2020年初頭に開催していたUNIT LIVE ADVENTURE 2020のAZALEA First LOVELIVE! ~ Amazing Travel DNA ~や追加公演の~PERFECT WORLD~も開催を中止しており、Aqoursが単独ライブイベントを開催するのは、昨年2019年6月に行われた5thライブぶり、実に1年4ヶ月ぶりの開催となります。
本来であれば全国5ヶ所のドームを巡る6thライブドームツアーは、Aqours史上、いやラブライブ!史上最多の観客を動員する規模で行われる予定でした。
それに比べると今回の無観客配信での開催となったLOST WORLDは少し寂しい気持ちもありますが、それでもこのご時世で安全にライブイベントが行われない現状を踏まえると、配信とはいえこうして久しぶりに生のAqoursを見ることができて本当によかったです。
取り戻した『~PERFECT WORLD~』
Aqoursにとって初の試みとなる無観客配信、その1曲目を飾ったのはグループ内ユニットGuilty Kiss。
続くユニットCYaRon!とも、最新ユニットシングルの表題曲である『New Romantic Sailors』と『Braveheart Coaster』を披露。
CDジャケットイラストを再現したユニット衣装だが、UNIT LIVE ADVENTURE 2020の各ユニット公演で披露した通りハイクオリティの出来。
しかしユニットのトリを務めるAZALEAは単独ユニットライブがついに開催できず、今回披露した新曲と新衣装もこの配信で初お披露目となりました。
表題曲『Amazing Travel DNA』の”Travel”にかけたような、乗務員コスチュームような帽子や制服感のある衣装。
AZALEAらしいダンサブルなギラギラとした白とシルバーをベースに、半分はメンバーカラーでキラキラと各メンバーの個性を表現していて、とても魅力的でした。
さらにAZALEAは、単独ユニットライブで披露できなかった他の新曲『空中恋愛論』と『メイズセカイ』も初披露。
ユニットの特徴である小気味よいEDMに乗せたリズミカルなダンスと、甘く切ない恋を歌う乙女の感情を余さず表現しました。
本来の開催予定だった3月より7ヶ月経った今回、ようやく果たされなかったAZALEAの1stライブが実現したような気がして、7ヶ月間待ち続けたファンと、そして歯痒い思いをし続けてきたであろうキャストメンバーたちの悲願が果たされたように思います。
そして同じく開催中止となってしまった、全3ユニットの合同ライブ~PERFECT WORLD~が、このLOST WORLDで実現したことは本当に嬉しく思います。
ついに実現!シャゼリア☆キッス
LOST WORLD前半戦最後の曲となるのは、なんと一世を風靡したあの『シャゼリア☆キッス☆ダダンダーン』
今年2020年の4月1日、ラブライブ!サンシャイン!!のエイプリルフール企画として投稿されたいわゆる”ネタ動画”であるこのシャゼリア☆キッスが話題が呼び、注目されていたのはまだ記憶に新しいところです。
そんなエイプリルフール企画として作成されたいわゆる”イロモノ曲”が、イメージ映像内のキャラクターを再現した新衣装を引っさげてのライブ披露となりました。
いつもとは違うAqoursの一面に応援ハッシュタグツイート「#LOSTWORLD_DAY1(DAY2)」も大盛りあがりでした。
失われたこの世界で
Aqoursがこれまで歩んできた道のり、1stライブ~5thライブのダイジェスト映像が各ライブを表す楽曲と共に流れます。
今年で5周年を迎えるAqours。その集大成として、ラブライブ!シリーズかつてない大規模イベントとなるはずだったドームツアーで、本来流れる筈だったと考えるとあらゆる意味で涙が止まりません。
そしてそんな節目を迎えるAqoursが挑む初の無観客配信ライブ。その本編となるLOST WORLD後半戦の幕を開けるのは、Aqoursのライブではお馴染みとなった『浦の星交響楽団』による演奏。
『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 6th LoveLive! DOME TOUR 2020 Opening Theme』
親の声より聞いたラブライブ!のメインテーマから始まり、ポップで軽快なサウンドかつ、まだ誰も見たことがない未知の領域へ踏み出すワクワク感の溢れる楽曲。
恒例のメンバー紹介映像が流れ、その後の映像では”3つの世界”を模したアイコンが画面に並びます。
それぞれ『AZALEA First LOVELIVE! ~ Amazing Travel DNA ~』『~PERFECT WORLD~』そして『Aqours 6th LoveLive! DOME TOUR 2020』。
ローディングされた3つの世界はそれぞれ『LOST』と表示され、世界を襲った感染症により失われてしまったことを表しています。
しかし、軽快で力強いオープニングテーマのまま、先の見えない暗闇の宇宙で、それでも尚輝きへと進むAqoursメンバー9人のキャラクターアイコン。
LOST WORLDのライブロゴの幕が上がり、後半戦1曲目となるのは、6thライブドームツアーのテーマ曲『Fantastic Departure!』。
CDジャケット衣装を模した豪華で綺羅びやかかつ、大海を思わせるクールなネイビーとブラックの新衣装もお披露目。
そしてなにより、Aqoursがパフォーマンスする特殊ステージは、6thライブツアーのメインアイコンとなったクジラ『ポエポエ』の上でした。
まさにクジラの背に乗って海を冒険する6thライブツアーの象徴です。
曲が終わるとMCパートに入り、初の無観客ライブに挑む心持ちをあらわにし、そして配信ならではのハッシュタグツイートで寄せられているコメントを読むという新鮮なMCとなりました。
MCでは前半のユニットパフォーマンス、そしてまさかのシャゼリア☆キッスの登場に触れ、Aqoursとしてのライブが1年4ヶ月ぶりという情報も。
初お披露目となるFantastic Departure!の新衣装にも言及し、それぞれが衣装のお気に入りポイントを力説。
そこからお馴染みのメンバー自己紹介に入り、ライブタイトル『~LOST WORLD~』が「善子っぽい」というフリから次の曲の導入へ。
津島善子役あいきゃんこと小林愛香さんの力強いソロイントロから、次の曲―またも初披露となる『Deep Resonance』。
スマホゲーム『Shadowverse』とのコラボソングとして制作された楽曲だが、ダークな世界を生き抜くという楽曲の世界観が、まさにこのライブ開催の状況に絶妙に重なり、
今までライブで披露されることのなかったこの曲をこの場所で歌うということが、Aqoursからの熱いメッセージにも感じられます。
Cメロ前にソロ歌唱となる小林さんが魔法陣を描く、という本来のライブ会場であれば会場スクリーンに描写されるエフェクトも、配信映像に直接映し出され、配信ライブならではの臨場感ある演出もあり、全国のリトルデーモンも大興奮の様子。
続いて披露されたのは、海にゆかりのあるAqoursを海賊に結んだ『Aqours Pirates Desire』。
メリハリのあるキレキレなダンスパフォーマンスで魅了するAqours。
今年で5周年を迎えるAqoursですが、毎年ライブでのパフォーマンスが磨かれているのが本当に凄いと思います。
しかしなんといってもこの曲といえば特徴的な海賊旗でしょう。
大きなフラッグを使ったセクシーかつダイナミックなパフォーマンス、そしてステージ中央の『ポエポエ』の上で一際大きく海賊旗を掲げる”Aqoursの船長”こと渡辺曜役の斉藤朱夏さん。
アウトロではカメラ前で一人ひとりがそれぞれ個性的なアピールを見せ、Aqoursの海賊タイムは終了となりました。
続いての楽曲は『Wake up, Challenger!!』
ラブライブ!シリーズを統合したスマホアプリ『スクスタ』のコラボシングル『KOKORO Magic “A to Z”』のカップリング曲です。
スクスタ楽曲らしく、ステージのバックスクリーンにはスクスタの3Dライブ映像が映し出され、ラブライブ!の代名詞とも言える『キャラクターとのシンクロ』を見事に再現してみせました。
先ほどのDeep Resonanceといい、通常であればライブで披露するのは珍しい楽曲のセレクトですが、やはり今の世間の環境、このLOST WORLDだからこそ伝えたいAqoursからの想いが感じられるセットリストだと思います。
DAY2ではこちらもライブ初披露となる『Dance with Minotaurus』。
さっきまでのクールな曲調とは打って変わって明るく楽しいサウンドに演じるメンバーも笑顔が絶えませんでした。
この楽曲は曲中の合いの手が豊富で、非常にライブ映えする曲です。
次回こそ、有観客の会場でファンのコールを響かせたいと思いました。
暗闇に閉じこもる怪物のミノタウロスの手を引き、一緒になって楽しもうという一風変わった世界観の曲ですが、こちらも今の世界の状況とそこに差し込む光であるAqoursを表しているように感じました。
本編最後となるのはAqoursの顔にして原点となる表題曲『君のこころは輝いてるかい?』。
カメラはステージ内から9人の中に入り、リーダーである高海千歌役の伊波杏樹さんを映します。
9人の輪の中心にそれぞれが手を伸ばすイントロ、輪の中心からそれぞれのメンバーを抜いていくという今までにないカメラ演出に感動を禁じえません。
何度も見た”Aqoursのこれから”予期させる期待に満ちたメロディと安心感のあるパフォーマンス。
それでいて見るたびに洗練されていく、指先までキャラクターとシンクロしたようなこの景色は感動すら覚えます。
「君ここは寝起きでも目を瞑っても踊れるんだろうな」なんてふと思ってしまうほど、楽しそうで自信に満ちた表情でのパフォーマンスでした。
しかし、いつもの君こことは違い、二人のメンバーを馬跳びするという斉藤さんの目玉パフォーマンスが省略される形での披露となりました。
ライブが開催できたと言え、新型コロナウイルス感染防止に配慮した演出で、曲中であっても演者同士が密になる振り付けやフォーメーションを、上手くアレンジして回避している工夫が見受けられました。
これはこれで新鮮な君ここが見れたと思いますが、やはりまたいつか、軽快にメンバーを飛び越す斉藤さんの馬跳びを見たいですね。
ツイートでのアンコールを挟み、再登場したAqours1曲目は、先日振り付け動画が公開され話題を呼んだばかりの最新曲『JIMO-AI Dash!』。
ノリのいいキャッチーなユーロビートにコミカルなパラパラダンスという、振り付け動画も公開されたこともあり、つい体が動いてしまいそうな楽しい楽曲。
今回はアンコールでも衣装は変わらず、Fantastic Departure!衣装のままだが、またAqoursの新しい一面が見れた気がしました。
真似のしやすいパラパラでありながら、さすがのキレのあるダンスも非常にカッコよかったです。
曲を終えると再びMCとなり、ライブ恒例のラブライブ!プロジェクト特別発表が公開。
特別発表では、全国のゲームセンターで稼働中のアーケードゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルAC』の家庭用版、PS4『わいわい!HomeMeeting!!』の発売と、
シリーズのキャラクターデザインを務める室田雄平さんの描き下ろしメインビジュアルと共に、『ラブライブ!サンシャイン!!5周年展示会 Pieces of Aqours』の開催が発表されました。
DAY2ではさらに新情報として、Aqours5周年記念としてアニメーションPV付きシングルの制作が決定。
さらにはこのLOST WORLDに引き続き、オンラインライブ第2弾として『Aqours ONLINE LoveLive! ~WHITE ISLAND~』が今冬開催されることが発表。
最後には、LOSTしてしまったはずのAZALEA1stライブが、『~Amazing Travel DNA~ TRY AGAIN』として2021年2月27日28日に開催が決定。
怒涛の新情報にハッシュタグツイートも大興奮。
5周年を迎えるAqoursがアニメーションPV付きシングルを発売するのは、5thシングルである『未体験HORIZON』以来です。
そして今回のLOST WORLDを締めくくるMCでは、初となった今回の無観客配信ライブの感想を語りました。
応援してくれるファンが会場にいないという最大の違いに、「緊張した」「やっぱり寂しい」と本音を零すメンバーたち。
しかし「それ以上にAqoursの9人でライブが出来たのが嬉しい」と語る黒澤ダイヤ役の小宮有紗さん。
くり返しますがライブイベントの開催が苦しい中、1年4ヶ月ぶりにライブが開催できたことは、メンバーにとっても念願だったのだと思います。
ソーシャルディスタンスに配慮し、MC中の並びもいつもより距離を開けて、通常であれば当たり前となっているメンバー間のスキンシップもなく「楽しいけど寂しい」とも言っていましたね。
そして、このLOST WORLD公演を締めくくる最後の曲は、君のこころは輝いてるかい?に並びAqoursの代表曲となるこの曲。
TVアニメOP曲『青空Jumping Heart』
そしてDAY2は同じくTVアニメセカンドシーズンのOP曲『未来の僕らは知ってるよ』
見る人聞く人を問答無用で楽しい気持ちにさせてしまう、そんなパワーのある曲です。
先の見えないこの世界で、力強く未来を歌うAqoursに、確かな希望を貰えました。
曲終わりにはLOST WORLDの成功と、明るい未来への啓示、そしてまだまだ躍進の止まらないAqoursのこれからを象徴するような花火が咲き乱れていました。
最後に
最後を締めた『君のこころは輝いてるかい?』と『青空Jumping Heart/未来の僕らは知ってるよ』の代表曲2曲を除けば、ライブ本編は全て初披露となる新曲で構成されていました。
それは開催される予定だった6thライブに向けて準備していたものだったり、それが果たせなくなった今だからこそ、伝えたいものだったりすると思います。
世界的不安の渦中、本来の形ではなくなってしまったものの、無事なAqoursのパフォーマンスが見れたこと、そしてこのライブで現地会場にいないファンにAqoursが届けたいメッセージが確かに伝わりました。
こうしたライブイベントをはじめ、私たちの生活の中で、大好きなものが失われてしまった世界で、それでもそこに光を見つけ、諦めず輝きを目指し、もう一度立ち上がろうと世界へ向けたエールを貰ったような気がします。
本来の6thライブ開催とはならなかったものの、こうした代替イベントを開催してくださった運営・スタッフの皆様。
そしてコロナウイルス蔓延という暗闇とブランクの中、無事に変わらぬ笑顔と進化したパフォーマンスを届けてくれたAqoursの皆。
LOST WORLD開催へ向けて尽力してくださった全ての関係者の方々に、本当に感謝です。
いつかまた、闇の晴れた新世界で、全国のドームという大海を堂々と航海するAqoursに会える日を待っています。