「ラブライブ!なんて出なくていい」新時代”はじまりの歌”【ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 3話感想】

ラブライブ!シリーズの第3話といえば、決意ときっかけを手にした3人の”はじまり”として表現されてきました。

虹ヶ咲において今回の3話を担当するのは優木せつ菜。そして彼女が叫ぶ”はじまり”とは。虹ヶ咲の”はじまり”とは。

 

 

第3話『大好きを叫ぶ』感想

音楽室×ピアノ

この組み合わせといえばシリーズ定番の展開といっても過言ではないですよね。

これまでのシリーズでは作曲担当との運命的な出会いでしたが、確かに虹ヶ咲においてその役割を持つのは誰でもない侑でしたね。

侑が弾いているのは拙いメロディの「CHASE!」。

え、やっぱり優木せつ菜が「主人公」じゃん……。

 

侑加入前の同好会持ち曲がCHASE!以外にあるのか不明ですが、それは誰が作曲していたんでしょうか?

ともかく作曲担当は侑なのですが、今作では一人ひとりに曲をあてがう必要があるので並の負担ではありません。

とはいえ未だ同好会の活動内容も不透明ですし、「作曲シーン」が描かれるのは全員加入後の「みんなの曲」を作るあたりからではないかと思います。

 

 

ワガママの本音と建前

「自分の大好き」を叫ぶことをスクールアイドルとしての信条としてきたせつ菜ですが、同好会解散となってそれが「ワガママ」であったことに気が付きます。

正確に言えば、「自身の信条を貫いてラブライブを勝ち抜く(評価される)」ことですね。

せつ菜はメンバーが一つの色にまとまることがラブライブで勝つ上で必要だと考え、同好会を自分の色にまとめようとしてかすみと対立します。

これが彼女のワガママでした。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会公式

 

「自分の大好き」という信条を貫いてラブライブに挑むことが、「誰かの大好き」を否定してしまう。

この二律背反を自覚したせつ菜は、「自分の大好き」をワガママだと思い込み、自ら同好会を去ります。

それが自分の最後のワガママだと言って。

もちろんこれは建前です。自分の気持ちに蓋をした偽りです。

1人で自分のライブを見るせつ菜ですが、まさにこの「CHASE!」こそが今のせつ菜自身へのアンサーのように聞こえます。

 

 

「ラブライブになんか出なくていい」

さあこんなことを言い出す主人公が現れることを誰が予想したでしょうか。

ラブライブで優勝し、時代を作ったμ’s。

そしてその時代に挑み、辛酸を嘗め、その旗を渇望していたAqours。

確かにアニメシリーズにおける祭典「ラブライブ」は、少女たちが何かを叶えるための「手段」でしかありませんでした。

しかしそれが今までの彼女たちにとって一番熱く、輝いて、そして象徴的な手段であった筈です。

それをスクールアイドルでもない新時代の主人公が否定する。

いや、スクールアイドルではない高咲侑だからこそ言える台詞だったのかもしれません。

A-RISEやSaint Snowといったガチ勢が聞いたらマジギレしそうですが、高咲侑にとって大事なのは、よく知らない大会なんかではなく自分に「トキメキ」を教えてくれたたった1人への肯定なんですよね。

 

せつ菜が蓋をしていた本当のワガママとは、ラブライブを目指すことでもなく、ましてや同好会から自分だけが抜けることでもありません。

誰かの大好きと衝突したとしても、自分の大好きを貫くこと。これが彼女の本当のワガママですよね。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会公式

 

「スクールアイドルがいて、ファンがいる。それでいいんじゃない?」

これがスクールアイドル優木せつ菜に「大好き」を魅せられた高咲侑の、最大の肯定です。

仲間にさえ届いていなかった筈の「大好き」は、確かに届いていた。

誰かに否定されて周りから誰も居なくなったとしても、私はあなたのファンで居続けるよという肯定。

ラブライブで勝ち抜けないことよりも、せつ菜自身が幸せになれない(大好きを叫べない)方が嫌なんだという、高咲侑のワガママです。

 

この言葉にせつ菜は気づき、もしくは吹っ切れます。

自分が本当にやりたいことは、ラブライブに出ることなんかではなく、自分の大好きを叫ぶことなんだと。

 

 

”はじまり”へのDIVE!

第3話挿入歌『DIVE!』

CHASE!での印象的だった炎の演出に対し、DIVE!では魚の泳ぐ水槽やせつ菜自身がたゆたう深海など、水のモチーフもあしらわれています。

「潜る」という意味のタイトルであるDIVE!もそうですね。

「熱さ」「情熱」を自分の大好きとしていたこれまでのせつ菜ですが、それだけではない新たな一面を見せている曲だと思います。

そう考えればこの「DIVE」は「潜る」ではなく「飛び込む」という意味の方かもしれません。

それも海へ、ではなく。サビで拓ける青空、そして歌詞でも「高く果てない」と歌っていることから、空へかもしれません。

スカイダイビングという言葉もありますよね。空から飛び込む。

しかしもっと大きく単純に、この歌は新たな「世界」へ飛び込む優木せつ菜の新たなはじまりの曲なんだと思います。

 

冒頭でも言いましたが、第3話はラブライブ!シリーズの本当の始まりと言っても過言ではありません。

誰もいない講堂で踏み出した「START:DASH」。

自分にできることを手探りで見つけた「ダイスキだったらダイジョウブ!」

これが優木せつ菜の、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の、そして「TVアニメ化」という未来すら自ら掴んで見せた異端ラブライブ!シリーズの、新たなはじまりです。

 

 

まとめ

そんな感じではじまりを告げる3話は「優木せつ菜:オリジン」回であり、「優木せつ菜:ライジング」回でもあったように思います。

そして実は一つ気になることが残っていまして。

「ラブライブなんか出なくていい」と大見得切った侑ですが、果たして本当にそうでしょうか?

もちろん文脈からは「せつ菜は」出なくていいということですし、他のメンバーのモチベーションも現時点では不明です。

もちろん加入までは、「ラブライブとかいう大会より、皆一人ひとりが好きなことを表現できる同好会にしようよ」という方針で集結するはずです。

ですが、その最終地点、その究極系は「皆がそれぞれの個性を発揮しつつ、9人として完成する」ステージだと思うので……。

もしかしたらそういう方向もあるのかもしれません。もしかしたら、第2期だったり、もしかしたら、10人や11人だったり……?

 

次回4話は愛さん回。あれ、そういえば加入済みの彼方・エマ・しずくの加入回ってどうなるの……?

 

 

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